コンピュータが可能にする表現 Computer Graphics

3. パソコンの登場とCGの進化

CG技術(ソフトウェア・アルゴリズム)の進歩はコンピュータ技術(ハードウェアやOS)の進歩とともにあるのは明かである。そのコンピュータ技術の進歩の歴史の中でのパーソナルコンピュータの登場がCGの進歩にどう影響したかは一概に語ることはできないが、その歴史は重なる。

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世界で最初のコンピュータと言われるENIACの登場後、コンピュータは数値計算をするためにしか使われないような大型のコンピュータ(メインフレーム)と呼ばれるものであった。それが、個人で利用するパーソナルコンピュータの時代へ転換していくことになる。このメインフレームからパーソナルコンピュータへ移行していく課程と、メインフレームを使って単純な図形描画を行うことしかできなかったCGが、設計製図に使われるCADや写実を超える映像表現が可能な3DCGへ進歩していく課程は重なって見える。つまり、CG技術の進歩はパーソナルコンピュータの登場によって加速されたと考えることができる。

その大型のメインフレームと呼ばれる企業や研究所で利用するコンピュータしかなかった時代に、個人で利用することを目的とした「パーソナルコンピュータ」というコンピュータの概念を提唱したのが、パソコンの父と呼ばれるアラン・ケイである。

ケイは「A Personal Computer for Children of All Ages」の論文の中で「Dynabook」と呼ばれる片手で持てるような小型のコンピュータを提唱している。これはiPadの原型とも呼ばれており、スティーブ・ジョブズにも大きな影響を与えている。アイバン・サザランドと共にSketchpadを含む先駆的アプリケーションを開発したことでも知られ る。

The Dynabook’s original illustration in Alan C. Kay’s 1972 paper

下図は、世界初のパーソナルコンピュータと呼ばれる米国MITS社のAltair 8800(アルテア 8800, 1974年)。CPUはインテル8080 2MHz、メモリ256バイト。現在のパソコンのようにディスプレイやキーボード、マウスはなく、パネルのスイッチをオン・オフして2進数でプログラミングするもの。

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