Autodesk 123Dは、3Dのモデリング、キャラクターデザイン、写真からの3D生成が可能なアプリケーションや自分で作成したデータをアップロードして共有するサービスを含み、さらにそのデータをレーザーカッターや3Dプリンターを使って実体へ出力するデジタルファブリケーションの可能性を詰め込んだ総合的な制作環境だ。2013年6月現在、123D Catch、123D Creature、123D Design、123D Make、123D Sculptの5種類のアプリケーションを公開している。
Autodesk 123Dのすばらしいところは、ユーザ登録するだけで基本的なサービスは無料で利用できるところだ。以下に、アプリケーションの種類とデバイスの対応状況をまとめる。
対応環境:ウェブアプリ(要WebGL)、iPhone、iPad、Windows
デジタルカメラやiPhoneで撮影した写真データをもとに3Dデータを作成することができる。対象の物体の背景に物があってもかまわないので、コツさえつかめばどんなものでも3Dデータに起こすことができる。123D Catchのサービスの中で少し勘違いしやすいのが、写真データの解析はあくまでもウェブサービスとして処理しているところだ。アプリ自体が処理を行っているのではないので、データの解析には必ずインターネットへの接続環境が必要になる。
対応環境:iPad
iPadを使って有機的なキャラクターをデザインすることが出来る。後述の123D Sculptと同様にiPadを使ったデジタルスカルプトに分類されるが、123D Creatureはキャラクターの骨格をベースに造形やポーズを編集していく。
対応環境:ウェブアプリ(要WebGL)、iPad、Mac、Windows
3Dのモデリングを行うことができるソリッドモデラー。一般の3DCGアプリケーションのモデリングに特化したものと考えればよいだろう。基本的には、3DCGアニメーションの映像を制作するためのものではなく、実体を出力するための3DCADという位置づけのアプリケーション。CADなので通常の3DCGアプリケーションにはないcmやinchといった単位をもとに設計を行う。とは言え、とてもわかりやすいインターフェースになっており、3DCG初心者の導入としても適した環境かもしれない。iPadで利用できるというのも驚きだ。外部アプリケーション用にSTL形式で書き出すこともできる。
※123D Designは、123Dbeta9(Windows版のみ)の新版ということらしいが機能は制限されて使いやすく整理されている。
対応環境:ウェブアプリ(要WebGL)、iPhone、iPad、Mac、Windows
3Dデータをスライスしてワッフル構造や積層構造に簡単に変換し、パーツ用の平面データも同時に作成することができるのでレーザーカッターへ直接出力したり、手作業で段ボールアートを制作する際の下書きとして利用することができる。
対応環境:iPad
iPadを使ってデジタルスカルプトを行うことができる。Sculptrisのようにゼロから造形していくのではなく、人物、犬、自動車などのベースとなるパターンを触って変形させていく感じだ。3Dペインティングも可能なので、遊び感覚で3Dキャラクターを作っていくことができる。特にその場で写真を撮影してテクスチャに割り当てる方法はかなり秀逸。やはり有機的な生物の造形はマウスではなく、フィジカルなデバイスで行うべきだと思う。
123Dシリーズはどれも遊び心をくすぐるアプリが多い。インターフェースは初心者でも使いやすいように絞られているが、それを支える技術はさすがAutodeskといったところで、ちょっとしたホビーアプリレベルではない。
参考URL、書籍 :
・AutoDesk 123D とはどんなソフトなの?(Japanese Makers)
・自宅ではじめるモノづくり超入門 ~ 3DプリンタとAutodesk 123D Designによる新しい自宅製造業のはじめ方