前述したシステムを見てもわかるが、インタビュー撮影では録音が重要になる。フォーカスと明るささえある程度担保されれば、映像よりも音質のほうを重要視する場合もある。ここでは海外のサイトである「How To Record Audio For An Interview」の記事を取り上げ、マイクの種類と音質の違いを解説する。
このサイトでは、以下の4つのマイクと2つの録音機材を使った比較を紹介している。
<マイク>
・Rode NTG-3
・Countryman B6
・Canon 5D MarkIII 内蔵マイク
・Rode VideoMic Pro
<録音機材>
・Tascam DR-40
・Canon 5D MarkIII本体の録音機能
以下にそれぞれについて解説する。
単一指向のコンデンサマイク。狭い範囲の音を狙うのでガンマイクやショットガンマイク?などと呼ばれる。コンデンサマイクは、ボーカル用のダイナミックマイクと異なり電源を必要とする。電源はマイク内部に電池を入れるものやキャノン端子から電源を供給するファンタム電源タイプのものがある。Rode NTG-3は44-52V(推奨48V)のファンタム電源を必要とする。
「How To Record Audio For An Interview」の中では下図のようにスタンドで固定されている。指向性の高いマイクでは口元に照準を合わせることでそれ以外のノイズを抑えて録音することができるが、被写体がマイクの照準から外れた場合には極端に音質が悪くなる。このため、写真のように音声マンがいない場合は、次に紹介するピンマイクなどで補助しておくことが求められる。
小型のコンデンサーマイクで仕込みマイクとして用いられる。襟などにピンで取り付ける場合はピンマイクと呼ばれる。Countryman B6は世界最小クラスの直径2.5mm。9V ~48Vのファンタム電源を必要とする。
下図の位置にある内蔵のモノラルマイク。音質もおまけ程度だが、このようなボディに付属するマイクはカメラの操作音や機械音も拾うため、録音した音声は聞き苦しいものになる。
ビデオカメラのシューに取り付け可能な指向性コンデンサマイク。電池駆動で出力がステレオミニジャックなため、キャノン入力のないビデオカメラやスマートフォンでも用いることができる。これも上記同様、カメラに取り付けるマイクであるためある程度の操作ノイズと機械ノイズを拾ってしまう。
DR-40は4bit/96kHz対応のリニアPCMレコーダー。音声専用のレコーダーを利用することで、カメラの録音機能より音質の高い録音を行うことができる。DR-40はファンタム電源にも対応しているので、プロ用のコンデンサマイクをそのまま接続することができる。
これらの機器を用いた録音した音声の違いを本家ウェブサイトやVimeoのムービーで確認することができる。
インタビュー音声という意味ではRode NTG-3とTascam DR-40で録音したものが音質が優れているが、実際の現場ではこれらの機器を準備できない場合も多い。予算や撮影条件、演出意図に合わせた最良の機器を選択する必要がある。
ここで演出意図について少し述べる。例えばRode VideoMic Proを使った録音では、Rode NTG-3と比較して環境ノイズが含まれる。環境ノイズがあったほうが撮影場所の雰囲気を表すのに都合が良いこともあるので、その際はあえてRode VideoMic Proを用いる場合もある。ただし、本当の意味で音質を求めた録音をする場合は、ガンマイクでインタビューを録音した上で環境ノイズのみ別撮りし、編集段階でバランスを調整してミックスするべきである。
本演習では機動性を重視し、カメラに取り付けるタイプの指向性コンデンサマイクとここでは紹介していないインタビュー用のダイナミックマイクを使った演習を行う。